おかづのはや見(おかずのはやみ)

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野菜

大関 八はいどうふ
関脇 とうふじる
小結 菜のひたしもの
前頭 うのはないり
前頭 からじる
前頭 いり菜
前頭 さつまいもの煮物
前頭 煮やっこ
前頭 ひじきにあぶらあげ
前頭 黄瓜[きうり]もみ

▼八はいどうふ…八杯豆腐。細長く切ったとうふをしょうゆでつくった汁で煮たもの。
▼うのはないり…卯の花煎り。おからに野菜の刻んだものなどを加えていためたもの。
▼からじる…おからをつかった汁もの。
▼いり菜…菜っぱをいためたもの。
▼煮やっこ…煮奴。とうふをゆでたもの。冷奴とは季節が逆。
▼黄瓜…昔はこちらの用字の方が多い。

頭 いもの煮ころがし
同 そらまめの煮付
同 あらめの煮つけ
同 とうがんじる
同 あぶらげの付焼[つけやき]
同 まつもどき
同 ごまじる
同 とうなすの煮付
同 さつまいものくずに
同 みつばのひたしもの
同 いんげんのごまよごし
同 こんにゃくの煮付
同 ねぎのぬた
同 きんびらごぼう
同 しんゑんどうしほじほ
同 あぶらげのつゆ

▼あらめ…おかずに使われてた海藻のひとつ。
▼あぶらげの付焼…あぶらあげに醤油をたらして焼いたもの。
▼まつもどき…松擬。なすびに細かく格子状の切れ込みを入れて焼いたもの。松ぼっくりに似たかっこうをしてる事からこんな呼び名に。
▼ごまじる…すりごまを加えた汁もの。『東海道中膝栗毛』に出てくる「かぼちゃのごまじる」の名前のモト。
▼とうなす…かぼちゃ。
▼くずに…葛煮。とろっとろ。
▼しんゑんどう…新豌豆。
▼しほじほ…塩をいっぱいかけたもの。
▼あぶらげのつゆ…刻んだあぶらあげをいれたおつゆ。

同 さやゑんどう煮しめ
同 ふじまめに焼どうふ
同 ねぎなんばん
同 こんぶにまめ
同 あさつきなます
同 ふろふき大こん
同 にんじんのしらあい
同 大こんのにしめ
同 がんもどきにしめ
同 なすのしぎやき
同 みつばのねぎいため
同 焼どうふのにしめ
同 ほふれん草ひたしもの
同 わかめのぬた
同 きゃらぶき
同 おいものおでん
同 みそまめの煮付
同 みそやきせうが
同 しそのみのからに
同 とうがんのくずに

▼ふじまめ…いんげんまめに似たさやのまま食べる豆野菜。
▼ねぎなんばん…ねぎをとうがらしなどでいためたもの。
▼ふろふき大こん…大根をゆでて蒸したものに味噌だれなどをつけたもの。「不老富喜大根」というあて字があって、えんぎのいい食べ物だとも吹聴されています。
▼しらあい…白あえ。
▼きゃらぶき…伽羅蕗。ふきを煮たもの。
▼おいものおでん…さといもをゆでた物に味噌だれをつけたもの。明治頃までのおでん屋台の主力。おでんと言うと、こんにゃくかコレだった。
▼みそまめ…大豆。
▼みそやきせうが…しょうがに味噌をつけて焼いたもの。
▼からに…おからと一緒に煮たもの。

同 ちゃせんなすび
同 すいとんじる
同 菜のからしあい
同 おさつの丸あげ
同 のりかけどうふ
同 なっとうじる
同 ゆばこげのにしめ
同 田ぜりのごまよごし
同 わかめじる
同 しそのみから煮
同 いりどうふ
同 にんじんにやつがしら
同 ずいきあい
同 しんぎくのひたしもの
同 かんろなすび
同 はかりぐはい煮付
同 しゃうじんあげ
同 けんちん
同 いんげんごまよごし
同 あんかけどうふ

▼ちゃせんなすび…茶筅茄子。切れ込みを入れていためたなすび。茶筅のようなかたちに広がるのでこんな呼び名に。
▼すいとんじる…小麦粉を練ったものをぶち込んで実にしてある汁もの。
▼からしあい…からしあえ。
▼おさつの丸あげ…さつまいもを切ったものを油であげたもの。
▼のりかけどうふ…もみのりなどをふりかけたとうふ。
▼ゆばこげ…焼いた湯葉。
▼ずいきあい…ずいき(さといものくき)のあえもの。
▼しんぎく…春菊の江戸ッ児なまり。
▼かんろなすび…なすびを甘露いためにしたもの。
▼はかりぐはい…くわい。慈姑。
▼しゃうじんあげ…精進揚げ。野菜の天ぷら。昔はこれがごはんのお膳に出て来るのは相当なごちそうだったそうです。
▼けんちん…けんちん汁。とうふと野菜の入ったおみそしる。

同 ごぼうのからに
同 なまあげの煮ひたし
同 竜田ゆばのうまに
同 さがらぶのうまに
同 とろろじる
同 あげだしどうふ
同 切干にあぶらげ
同 おことじる
同 がんもどきにしめ
同 むかごのにしめ
同 はすのあぶらいため
同 しのだまき
同 たけのこにしめ
同 くづしゆり
同 やきふのすいもの
同 いもがらにあぶらげ
同 ながいものしほじほ
同 しいたけどうふ
同 のっぺい
同 なっとう

▼さがらぶ…相良麩。
▼切干…きりぼしだいこん。
▼おことじる…お事汁。さといもなどの野菜が入っているおみそしる。事はじめの日に食べられていたためにこんな呼び名に。男汁ではありませぬ。
▼むかご…やまいもの葉のつけ根に生えて来る丸っこいもの。ごはんと一緒に炊き込んだりしても食べられています。
▼しのだまき…あぶらあげに野菜などを巻いてかんぴょうで結び、煮たもの。あぶらあげは狐の好物というところから信太の森の狐を取ってこの呼び名になりました。
▼やきふ…焼き麩。
▼いもがら…芋殻。さつまいもなどのくきをかわかしたもの。戦国の頃には保存食としてさむらい達が持っていました。
▼しいたけどうふ…とうふと椎茸を煮たもの。
▼のっぺい…野菜などを入れて葛粉でとろみをつけさせた汁もの。行事のときなど、あらたまった献立として出る時が多いもの。のっぺ。

同 ごった煮
同 はつだけどうふ
同 ゑだまめの煮染[にしめ]
同 ちぎりこんにゃく
同 うどのうまに
同 わらびにつどどうふ
同 いとこんにゃくにしめ
同 やつがしらのにしめ
同 たけのこ木のめあい
同 かんぴゃうのにしめ
同 やきぐりのにもの
同 かんろうめ
同 よしはらあげうまに
同 なまのりのつくだに
同 あをとうがらし煮付
同 あぢつけのり
同 なまのり三ばいす
同 くりのきんとん
同 くはいのきんとん
同 ぎせいどうふ

▼はつだけ…初茸。きのこのひとつ。茶色い。
▼つどどうふ…苞豆腐。水気をきって棒状に蒸したとうふ。
▼木のめあい…木の芽あえ。
▼かんろうめ…甘露梅。うめの実をしそ巻にして甘く煮たもの。
▼よしはらあげ…吉原揚。とうふを油であげたもの。なまあげやがんもどきの仲間。
▼三ばいす…三杯酢。
▼くりのきんとん…栗きんとん。おせち料理。
▼くはいのきんとん…慈姑きんとん。おせち料理。
▼ぎせいどうふ…擬製豆腐。とうふと野菜を玉子焼きにしたもの。モトは精進料理。
校註●莱莉垣桜文(2010) こっとんきゃんでい