ヘイ明[あけ]ましてはおめでたう当年も相替らずまた永日との紋切形も今年は去年に引替て身は山住の気楽さは世の交際は跡を絶ち晦日知らずの境界にも流石に古郷懐かしく▼絵入新聞を繰返せばはや刷納めも昨日と成て今はめでたき初配り刷出[すりだ]す高もいつしかに二千八百六十余号その盛大に弥[いや]まして今年は新紙の▼紙幅を改め夫[それ]さへよしや足引[あしびき]の▼尾張町へのお転社とは、重ね重ねのお目出度に、お取[とり]こみとは蔵入[くらいり]を、充満[いっぱい]取込[とりこみ]酉の市八声[やこえ]の鶏の未明より夕告鶏[ゆふつげどり]の暮るまで看客諸君の御愛顧は、実に鶏が鳴東都の名誉、然れば諸国のとり引[ひき]は、空飛[そらとぶ]鳥のつばさに均しく、西の果[はて]から北の果[はて]其の配達もとり急ぎ早いが得意の東京絵入とり分け今年は記者、印刷、社員は若手の手揃ひにて、探り上手の探訪者が聞[きき]出す臭[かぎ]出す耳と鼻勉強いたして珍聞奇説面白尽しの雑報を沢山お目に懸升[かけます]れば、十千万[とちまん]枚のお求めを、▼地球上の果[はて]からすみ迄[まで]偏[ひとへ]に願ひ奉つる
ィョ口上との悪落も昔の馴染の挑灯持が祝詞に換て其為左様
在▼佐倉 ▼為永春江