材料の分量は、白米一升について、水一升、中位[ちうぐらゐ]のアナゴ適量、醤油四分、味淋[みりん]六分の割合とする。その炊き方は、アナゴを鰻[うなぎ]のやうに蒲焼[かばやき]にして、御飯が炊けたら丼鉢[どんぶりばち]に八分目ほど盛って、その上に前のアナゴの蒲焼を載せ、なほその煮汁[だし]を程よく掛けて蓋をして置くのである。アナゴには種類がいろいろあるから、能[よ]く選ばなければならぬ。料理用として一番美味なのは、真アナゴと云ふので、これき皮が軟[やはら]かで、脂肪気[あぶらけ]が沢山[たくさん]あって、最も食用に適してゐる。黒アナゴと云ふのは、▼黒い星があって、その上に骨が多くていけない。