御飯の炊き方百種(ごはんのたきかたひゃくしゅ)はしがき

はしがき
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はしがき

生活上最も必要な問題は食料問題である。多くの食料品の内で日本人に取って一層大事なのは米、即ち御飯の炊き方である。今日の様に高いお米を喰はなければならない日本人は、どうしたら安い外国米が美味く喰べられるか、衛生と経済で認められた麦飯はどうか、近頃主張されてる豆滓[まめかす]飯や、玄米飯、半搗[はんづき]飯の価値はどうか、一家の主婦として研究せねばならない時となってきた。今迄の様に全く女中達に任せきりにしておけぬ。実際国家から云っても、これからは成るたけお米の喰べ延ばしをせねばならぬ。と云って美味く喰べられなくては駄目である。だから本書は経済、滋養、美味の点から諸種の炊き方百種を十分説明した積[つも]りである。

大正七年八月 食養研究会

▼豆滓…油をしぼったあとの大豆かす。
▼半搗…五分づきのお米。
校註●莱莉垣桜文(2010) こっとんきゃんでい