材料の分量は、白米一升に就[つ]いで、水一升、海苔七枚、葱半本[はんぽん]、蜜柑の皮少量、▼けし少量、▼粉蕃椒[たうがらし]少量の割合とする。その炊き方は、海苔の片面を火の上で能[よ]くあぶって、美しく緑色になったら紙の上に細[こまか]く揉みほぐして、之[これ]を篩[ふるひ]で篩[ふる]ひ出して置き、御飯が炊けてしまったら、その中へ之[これ]を▼振り込みながら、御飯をお飯櫃[はち]に移しかへるのである。海苔飯は年中何時[いつ]でも宜[よ]いが、大抵春の季節の食品として定められてゐる。之に使ふ所の海苔は、成るべく香気のある上等のものでなければならぬ。