山吹飯は手軽に出来て、臨時の客用には至極重宝なものである。材料の分量は白米一升五合について、水一升五合、卵七個、食塩八匁、味淋[みりん]五勺、砂糖五匁、酒一合の割合とする。その炊き方は、卵を一個づつ小さい鉢にわって、▼かけのないやうにしてから、大きい鉢に移し、箸でかき廻して蛋黄[きみ]と蛋白[しろみ]とが能[よ]くかきまじったら、五勺の味淋[みりん]と五匁の砂糖と三匁の食塩とを加へて能[よ]く箸でかき廻し、それから鍋に入れて火にかけ、焦[こ]げつかせぬやうに掻き廻していりつける。御飯が炊けて飯櫃[おはち]に移す時に、前のいり卵をその中にかきまぜるのである。