▼半搗米[はんづきまい]は精白したものと玄米の間にある、半分▼搗いた米である。玄米の御飯は滋養分があって常食ら好[よ]いが、食べて不味[まづい]、だから食べにくいと云ふやうな人がこの半搗米を始めたのであるが、近頃は大分流行物[りうこうもの]の如く行はれて居る。
磨ぎ方は余り十分に洗はない方が好[よ]い、余り強く磨ぐと半搗きの米を食する甲斐がないのである。炊き方や水加減は玄米と同じ方式に依れば好[よ]く、米の殖ゑる度は玄米より少し少量であるが、味に於ては大分美味[おいし]い。普通の御飯を喰[た]べて居るのと変らない、気がつかないで居たら半搗き米と知らずにに了[おは]ることがある。成る事なら一般に半搗米を常食しすると、胃病患者や▼脚気患者は▼地を払って無くなると▼信仰者は云う、脚気には確かに好[よ]い証拠は沢山ある。
冷飯になると何[ど]うもボロボロする、之れは是非が無いから、ボロボロするのが否[い]やならば、餅米をホンの一掴み一升の量の中へ五勺ほど掴み込み、炊けば冷飯になってもボロボロする度は余程違う。更に一合即ち一割を加へた物になると、少し粘り気が強すぎる感がするから、二升の米量に対して餅米一合位が適度であらう。餅米は水を引かない質であれば、一升の中へ五勺入れたからと云って水加減を加減する程にも及ばぬ。玄米の部を参考して各自の考へ次第でよい、何もむづかしい炊き方も何も無いのである。