作 真赤堂大嘘 Makkado Ouso
画 北尾重政 Kitao Shigemasa(?)
版元 鱗形屋孫兵衛
安永4年(1775)
既に絵草紙などで知られていた妖怪をもじりかえたものや、人々の間で使われている言葉で形にしたらおばけくさくなるものを描いたもので、のちの『画本纂怪興』(1791)などの先兵となっている作品。
▼式亭三馬[しきていさんば]は、自身も持っていたこの本について、作者(真赤堂大嘘[まっかどうおおうそ]など)については不明としていますが、描かれている挿絵については▼北尾重政[きたおしげまさ]のものである、という聞き書きを記しています。
『画図百鬼夜行』(1776)が執筆されたであろう以前に発売されていて、その関係がどの程度であったかが気になる一冊です。サリナガラ、のちに出されてゆく諸作品、あるいは新たにデザインされた妖怪を収めた絵巻物などとは違い、文章が主で、妖怪の姿を描いた挿絵は従の関係になっており、すべての妖怪ぶんに絵がつけられてはいません。